病気やケガによって日常生活や仕事に制限がある人は、障害年金を受給できます。
障害年金は条件さえ満たしていれば現役世代も受給できるため、病気やケガで働けない人は申請手続きをしましょう。
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
引用元:障害年金-日本年金機構
ただし障害年金の受給金額は、以下のように障害の重さや加入している年金の種類によって異なります。
障害年金の等級 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
障害基礎年金1級 | 8万1,020円 | 97万2,250円 |
障害基礎年金2級 | 6万4,816円 | 77万7,800円 |
障害厚生年金1級 | 13万2,405円 | 158万8,862円 |
障害厚生年金2級 | 10万5,924円 | 127万1,090円 |
障害厚生年金3級 | 4万8,616円 | 58万3,400円 |
障害年金を申請する際は、自分がいくら受給できるのか事前に知っておくことが大切です。
- 障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金の2層構造
- 障害基礎年金の受給金額は年77万7,800円〜97万2,250円
- 厚生年金の加入者なら障害厚生年金が上乗せされる
- 受給条件は障害等級、初診日、納付期間の3つを満たすこと
この記事では、障害年金の受給金額や申請方法について初心者にもわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 1 障害年金の金額はいくら?年金の種類や障害等級ごとの計算方法を解説
- 2 障害年金の受給要件!障害基礎年金2級か障害厚生年金3級以上の等級が必要
- 3 障害年金の申請方法!住んでいる地域の年金事務所で手続きをしよう
- 4 障害年金とは病気やケガで労働が制限される際に受給できる年金のこと
障害年金の金額はいくら?年金の種類や障害等級ごとの計算方法を解説
障害年金の金額は、年金の種類や障害等級に応じて777,800円〜972,250円の範囲で決定されます。
障害年金は2階建ての年金制度といわれており、以下のように障害基礎年金と障害厚生年金の2層構造になっています。
障害年金が2層構造になっている理由は、日本の公的年金制度が国民年金と厚生年金によって成り立っているからです。
1階部分にあたる障害基礎年金は、国民年金に加入している人が支給されます。
国民年金とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人が加入を義務付けられている公的年金のことです。
障害基礎年金は病気やケガの程度によって1級と2級に分類され、それぞれで以下のように計算方法が異なります。
障害基礎年金の計算方法
障害等級 | 障害基礎年金の計算式 |
---|---|
障害基礎年金1級 | 障害基礎年金1級の基準額+子の加算額 |
障害基礎年金2級 | 障害基礎年金2級の基準額+子の加算額 |
参考元:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額-日本年金機構
子供がいる場合は、人数分だけ障害基礎年金を加算してもらえる仕組みです。
一方で障害年金の2階部分にあたる障害厚生年金は、厚生年金に加入している人が支給されます。
厚生年金は会社員や公務員が加入している公的年金を指し、国民年金に上乗せされて支給されるのが特徴です。
そのため、会社員や公務員の人なら障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されます。
障害厚生年金の障害等級は1〜3級まであり、受給額は以下のように報酬比例の年金額によって算出します。
障害厚生年金の計算方法
障害等級 | 障害厚生年金の計算式 |
---|---|
障害厚生年金1級 | 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額 |
障害厚生年金2級 | 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額 |
障害厚生年金3級 | 報酬比例の年金額 |
参考元:政府広報オンライン
報酬比例の年金額とは、厚生年金の加入期間や過去の収入に応じて受給額を計算するために必要な基礎部分のことです。
障害が最も重い障害厚生年金1級は、報酬比例の年金額に1.25を掛け合わせ、さらに妻や夫がいる場合には配偶者の加給年金額も加算されます。
反対に障害が最も軽い障害厚生年金3級に認定されると、報酬比例の年金額がそのまま受給額として反映されます。
障害厚生年金は病気やケガが軽快して受給対象から外れても、軽い障害が残った場合に限り、自治体から障害手当金が支給されることが大きな魅力です。
ただし、国民年金および厚生年金に加入していない人は対象外となるため、他の公的給付を検討した方がいいかもしれません。
例えば障害で働けない事情がある場合は、生活保護の条件を満たせる場合がありますので、居住している地域の市役所で確認しましょう。
市役所は年末年始や夏季期間の営業時間が変更になっている可能性があることから、平日に問い合わせておくのが最適です。
障害基礎年金の金額は1ヶ月に最大8万1,020円だから年間90万円超えも可能
障害基礎年金は障害等級1級または2級に認定された人が受給対象となり、以下のように1ヶ月あたり最大8万1,020円が支給されます。
障害年金の等級 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
障害基礎年金1級 | 8万1,020円 | 97万2,250円 |
障害基礎年金2級 | 6万4,816円 | 77万7,800円 |
年間の受給額に換算すると最大97万2,250円になるため、1年あたり90万円超えも可能です。
障害基礎年金は収入や年金加入期間に関わらず、定額給付によって毎月6〜8万円を受け取れます。
病気やケガで仕事を休んでいても、最低限の生活費は賄えます。
さらに、障害基礎年金は18歳までの子供を養育している場合、支給金額が加算されます。
18歳までの子供を養育していれば1人につき月額1万8,650円を加算してもらえる
障害基礎年金には子の加算があり、18歳までの子供を養育していれば1人につき月額1万8,650円を加算してもらえます。
子供の人数 | 月の加算額 | 年間の加算額 |
---|---|---|
2人まで | 1人につき1万8,650円 | 1人につき22万3,800円 |
3人目以降 | 1人につき6,216円 | 1人につき7万4,600円 |
3人目以降の加算額は少ないものの、受給者に18歳までの子供が3人いる場合は月額4万3,516円まで加算が可能です。
子の加算があれば親が障害年金を受給することになっても、子供にかかる当面の食費や教育費を工面できます。
さらに子の加算は障害等級に関わらず、1級と2級のどちらも対象となり、子供の数だけ申請が可能です。
国民年金法における子の加算の期限は、18歳の誕生日を迎えてから最初の3月31日までと定められているため、子供が成人するまで障害基礎年金に加算してもらえます。
18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子
引用元:国民年金法-e-Gov法令検索
ただし、18歳以下の子供を養育している人は児童手当をもらった方が支給金額が高くなる可能性もありますので、どちらを申請するべきか確認しておいたほうがよいでしょう。
母子家庭もしくは父子家庭の親で、障害基礎年金による子の加算だけでは養育費が足りない人は、児童扶養手当と併用することも可能です。
児童扶養手当と併用が可能なので申請すると養育費を補える
障害基礎年金は児童扶養手当と併用が可能なので、申請すると足りない養育費を補えます。
児童扶養手当とは、ひとり親世帯が児童の養育を目的に支給してもらえる手当のことです。
児童扶養手当は障害基礎年金における子の加算額が下回った分を補填してもらえるため、ひとり親世帯で子供を養育している人は申請しておくとよいでしょう。
子供の人数に応じて補填してもらえる児童扶養手当の金額は、以下のとおりです。
子供の人数 | 子の加算 | 補填される児童扶養手当の金額 |
---|---|---|
1人 | 18,650円 | 最大24,420円 |
2人 | 37,300円 | 最大15,940円 |
3人 | 43,561円 | 最大15,779円 |
児童扶養手当で補填してもらえる金額は、1ヶ月につき最大24,420円になる旨がわかります。
他にも障害を抱えている子供を養育している場合、子の加算期間を延長してもらえます。
子供が障害等級2級以上なら20歳になるまで加算が延長される
障害基礎年金の受給者に障害等級2級以上と認定された子供がいる場合、子の加算期間を20歳までに延長してもらえます。
年金の加算額対象者となっている18歳到達年度の末日(3月31日)までの子が障害等級の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、20歳まで加算額が延長されます。
引用元:障害基礎年金を受けている方の子が障害の状態になったとき-日本年金機構
子の加算期間を20歳まで延長してもらえる理由は、障害基礎年金の受給条件が20歳以上だからです。
内閣府の調査によると、以下のように障害者の就業率は一般よりも低いことがわかっており、子の加算期間が18歳で終了すると世帯への経済的負担になりかねません。
年齢 | 20〜24歳の就業率 | 25〜29歳 |
---|---|---|
一般 | 64.2% | 80.0% |
身体障害者 | 50.0% | 52.5% |
精神障害者 | 26.3% | 18.8% |
しかし子の加算期間が延長されると、子供自身が20歳に到達して障害基礎年金を受け取れるようになるまでの生活費を賄えます。
子の加算を延長する場合は、住んでいる地域の役所や年金事務所で加算額・加給年金額対象者の障害該当届を提出しましょう。
障害厚生年金の金額は年収が多い人や被保険者期間が長い人ほど高額になる
障害厚生年金の受給額は、報酬比例の年金額によって決まるため、年収が多い人や厚生年金の被保険者期間が長い人ほど高額になる仕組みです。
報酬比例の金額は、以下のように平均標準報酬月額、または平均標準報酬額に給付乗率と厚生年金の加入期間を掛け合わせて算出します。
報酬比例の金額=平均標準報酬月額(平均標準報酬額)×給付乗率×厚生年金の加入期間(300月未満は300月とみなす)
平均標準報酬月額または平均標準報酬額とは、基本給に手当や賞与を加算した標準報酬月額の平均額のことであり、およそ平均月収に近い金額です。
給付乗率は、報酬比例を計算する際に用いられる係数であり、以下のように厚生年金の加入時期によって異なります。
厚生年金の加入時期 | 給付乗率 |
---|---|
平成15年3月まで | 7.125/1,000 |
平成15年4月以降 | 5.481/1,000 |
厚生年金の加入期間は、300月未満の人でもすべて300月としてみなして計算します。
被保険者期間が300月未満のものについては、次の計算式が適用される。(従って、年金額が被保険者が300月である場合の額まで増額される
引用元:日本の社会保障制度について-在シカゴ日本国総領事館
厚生年金の加入期間が短い若年層にも、十分な補償を受けられるよう配慮されているからです。
例えば平均標準報酬額が40万円で、平成15年4月以降に1ヶ月でも厚生年金に加入している人であれば、報酬比例の年金額は65万7,720円となります。
報酬比例の年金額65万7,720円=平均標準報酬額40万円×給付乗率5.481/1,000×厚生年金の加入期間300月
障害厚生年金は定額給付ではないため受給額を算出するのは難しいですが、基本的には収入が多い人ほど受給額が増える仕組みです。
さらに障害厚生年金は、夫や妻に対する配偶者加算年金も用意されています。
65歳未満の配偶者がいると配偶者加給年金で月額1万8,650円が加算される
障害厚生年金には配偶者加給年金があり、障害等級が1級または2級の人に65歳未満の配偶者がいる場合、以下のように月額18,650円が加算されます。
障害等級 | 月額 | 配偶者の加給年金額 |
---|---|---|
障害厚生年金1級 | 1万8,650円 | 22万3,800円 |
障害厚生年金2級 | 1万8,650円 | 22万3,800円 |
障害厚生年金3級 | ー | ー |
例えば報酬比例の年金額が65万円の人に配偶者がいるケースであれば、最終的な障害厚生年金2級の受給額は87万3,800円です。
報酬比例の金額65万円+配偶者の加給年金額22万3,800円=障害厚生年金2級の受給額87万3,800円
ただし、配偶者が病気やケガで障害厚生年金を受給していたり、65歳に達して老齢厚生年金を受給したりすると配偶者の加給年金は停止されます。
配偶者が、老齢厚生年金(加入期間(2つ以上の老齢厚生年金の場合は合計した期間)が20年以上または20年以上とみなされるものに限ります)または障害を給付事由とする年金の決定を受けた場合は、加給年金が支給停止されることがありますので届出が必要です。
引用元:国家公務員共済組合連合会
障害厚生年金3級には配偶者の加給年金がないものの、最低保障額が設けられています。
障害厚生年金3級の人は年間58万3,400円の最低保証額が設けられている
障害が軽い障害厚生年金3級の人は、年間58万3,400円の最低保障額が設けられています。
障害厚生年金3級には、583,400円の最低保障額がある
引用元:障害年金のご案内-厚生労働省
障害厚生年金3級は、1級や2級で受け取れる障害基礎年金の加算がないためです。
障害等級2級以上であれば障害基礎年金と合算して受け取れますが、障害等級3級の人は障害厚生年金のみとなり、十分な保障を受けられない場合があります。
障害等級3級の人は仕事に制限があるものの、全く働けない状態ではないため、障害基礎年金が受け取れないのが難点です。
そのためどうしても受給金額が足りない場合は、公的融資制度や民間金融機関でお金を借りることも検討したほうがよいでしょう。
とはいえ障害厚生年金には障害手当金があり、障害等級3級の人でも病気やケガが軽快すると一時金が支給されます。
障害手当金なら報酬比例の年金2年分として最低でも116万6,800円が支給される
障害手当金とは、病気やケガが軽快して障害厚生年金3級に該当しなくなった際に受け取れる一時金のことです。
厚生年金に加入していれば、障害厚生年金の他にも障害手当金として報酬比例金額の2年分が支給されます。
上述している最低保障額58万3,400円の2倍は受け取れるため、最低でも116万6,800円が支給されます。
(報酬比例額の年金額×2)を一時金として支給します。最低保障額は1,166,800円。
引用元:障害年金ガイド(令和4年度版)-日本年金機構
例えば月収が10万円程度の人でも、以下のように障害手当金が116万6,800円以下になることはありません。
平均標準報酬額 | 障害手当金の受給額 |
---|---|
10万円 | 116万6,800円 |
20万円 | 116万6,800円 |
30万円 | 116万6,800円 |
40万円 | 131万5,440円 |
障害手当金は障害厚生年金に対する一時金であるため、厚生年金に加入していない障害基礎年金だけの人は残念ながら対象外です。
ただし障害基礎年金を受け取っている人でも、複数の障害を抱えていれば、併合認定によって受給金額が増える場合があります。
複数の障害がある場合は併合認定によって受給金額が増えるケースもある
複数の傷病を抱えている場合は、併合認定によって障害等級が上がる可能性があり、結果的に受給額が増えるケースがあります。
併合認定とは、障害年金の受給者が新たな病気やケガを負った際に、前後の障害を併合して障害等級を決める認定制度のことです。
以下で、併合認定のパターンをいくつか紹介しているので参考にしてください。
障害等級2級から1級に上がるケース!後発障害が2級程度の場合
障害等級2級の人が新たに2級程度の障害が発生すると、以下のように併合認定によって障害等級1級に上がります。
障害基礎年金2級から障害基礎年金1級に上がることで、月々の受給額は1万6,000円ほど増額されます。
障害等級2級から1級に上がるケース!後発障害が3級程度の場合
障害等級1級に上がるケースはもうひとつあり、以下のように障害等級2級の人が3級程度の障害を新たに負ってしまう場合です。
障害基礎年金2級の人でも3級程度の障害が新たに発生すると、併合認定によって障害基礎年金1級に上がる可能性があります。
ただし、2級と3級による併合認定は、前後の障害がそれぞれ軽いと障害等級1級に上がらないケースもあります。
障害等級3級から2級に上がるケース
厚生年金に加入していると障害等級3級から支給されるため、新たに3級程度の障害が発生すると障害厚生年金2級に上がります。
国民年金の加入者も同様に前後の障害が3級程度であれば、併合認定によって障害基礎年金2級を受給可能です。
併合認定後の障害等級は、併合等認定基準にある併合判定参考表と併合認定表によって確認できます。
併合判定参考表にある番号を併合認定表にそれぞれ当てはめ、縦横で交わる数字から併合認定による障害等級を調べましょう。
障害年金でもらえる金額を世帯状況ごとにシミュレーション
ここまで障害基礎年金と障害厚生年金の違いを紹介しましたが、障害年金でもらえる金額は世帯の人数や収入によって異なります。
特に障害基礎年金と障害厚生年金では受給額が大きく変わるため、事前にどのくらい受け取れるのか把握しておくことが大切です。
障害年金の受給額を事前に把握しておけば、障害が回復するまでの生活費がわかるうえ、支出の見直しや貯蓄の切り崩しの必要性も見えてきます。
以下で障害年金の受給額を世帯人数や収入ごとにシミュレーションしたので、実際にどのくらい受け取れるのか参考にしてください。
今回のシミュレーションでは、東京都の標準報酬月額表に記載されているボーナスを除いた標準報酬月額をもとに算出しています。
障害基礎年金1級の人がもらえる金額
障害基礎年金1級の人であれば、以下のように最低でも年間97万2,250円がもらえます。
世帯状況 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
単身または夫婦のみ | 8万1,020円 | 97万2,250円 |
単身、夫婦+子供1人 | 9万9,670円 | 119万6,050円 |
単身、夫婦+子供2人 | 11万8,320円 | 141万9,850円 |
単身、夫婦+子供3人 | 12万4,537円 | 149万4,450円 |
月額にすると最低でも8万1,020円が支給され、子供が2人以上いると10万円以上の金額を受給することも可能です。
障害基礎年金には子の加算があるため、子供1人につき年22万3,800円または年7万4,600円が加算されます。
障害基礎年金2級の人が受給できる金額
障害基礎年金2級の人は、以下のように最低でも年間77万7,800円を受給できます。
世帯状況 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
単身または夫婦のみ | 6万4,816円 | 77万7,800円 |
単身、夫婦+子供1人 | 8万3,466円 | 100万1,600円 |
単身、夫婦+子供2人 | 10万2,116円 | 122万5,400円 |
単身、夫婦+子供3人 | 10万8,300円 | 130万円 |
仕事をしていない主婦でも、夫が厚生年金に加入していれば第3号被保険者として障害基礎年金2級以上を受給することが可能です。
厚生年金保険に加入している人(国民年金第2号被保険者)によって扶養されている配偶者は国民年金第3号被保険者になります。
引用元:年金・福祉-法務省
ただし、障害を抱えている主婦が受給できるのは障害基礎年金のため、障害厚生年金は受給できないことを覚えておきましょう。
障害厚生年金1級の人がもらえる金額
障害厚生年金は過去の収入や被保険者期間だけではなく、配偶者の有無や子供の人数で受給額が異なります。
給付乗率が5.481/1,000で厚生年金の加入期間を300月とみなした場合、障害厚生年金1級の人がもらえる金額は以下のとおりです。
平均月収 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
20万円 | 11万5,277円 | 138万3,325円 |
30万円 | 13万2,405円 | 158万8,862円 |
40万円 | 14万9,533円 | 179万4,400円 |
配偶者がいない人でも、平均月収が30万円であれば年間158万円の障害厚生年金を受け取れます。
配偶者と子供が1人いる世帯であれば、年間44万7,600円が加算されるため、最終的な受給額は年間203万6,422円です。
障害厚生年金2級の人が受給できる金額
障害厚生年金2級の人は、以下のように平均月収30万円であれば年間127万円が支給されます。
平均月収 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
20万円 | 9万2,221円 | 110万6,660円 |
30万円 | 10万5,924円 | 127万1,090円 |
40万円 | 11万9,626円 | 143万5,520円 |
障害厚生年金1級の受給額と比べると20〜30万円ほど少ないものの、障害基礎年金1級と比較すると50万円以上多くなります。
障害厚生年金3級の人がもらえる金額
障害厚生年金3級の人がもらえる受給額は、最低でも58万3,400円です。
平均月収 | 基本月額 | 年間受給額 |
---|---|---|
10万円 | 4万8,616円 | 58万3,400円 |
20万円 | 4万8,616円 | 58万3,400円 |
30万円 | 4万8,616円 | 58万3,400円 |
36万円 | 4万9,329円 | 59万1,948円 |
40万円 | 5万4,810円 | 65万7,720円 |
障害厚生年金3級は最低保障額が設けられているため、収入が少なくても年58万3,400円は必ず支給されます。
障害年金の受給額は世帯人数や収入によって異なるだけではなく、数年おきに改正されているのも特徴です。
障害年金の金額は上がる?令和4年は昨年よりも0.4%引き下げられた
令和4年(2022年)の障害年金は、令和3年(2021年)と比べて以下のように0.4%ほど引き下げられました。
障害等級 | 令和3年(2021年) | 令和4年(2022年) |
---|---|---|
障害基礎年金1級 | 97万6,125円 | 97万2,250円 |
障害基礎年金2級 | 78万900円 | 77万7,800円 |
0.4%の引き下げは、障害年金だけではなく65歳から支給される老齢年金も同様です。
高齢になった時にもらう国の年金支給額が4月から、今より0.4%下がることになった。
引用元:2022年度の年金支給額を0.4%引き下げ-朝日新聞デジタル
公的年金の引き下げは平成以降から定期的におこなわれており、今後も障害年金の引き下げが考えられます。
高齢化社会による年金支給率の上昇に併せて、年金を納める現役世代も徐々に減少しているからです。
平成26年(2014年)から平成27年(2015年)にかけての障害年金は1.0%ほど引き上げられているものの、国内の状況を鑑みると障害年金の引き下げは続くことが予想されます。
そのため、次の引き下げが実施される前に障害年金を申請したほうがよいでしょう。
障害年金の受給要件!障害基礎年金2級か障害厚生年金3級以上の等級が必要
障害年金を受け取るには、障害基礎年金2級以上または障害厚生年金3級以上の等級が必要です。
政府は障害等級ごとに障害の程度を提示しており、以下のように仕事だけではなく他人の介助を受けなければ日常生活を送ることが困難な場合は障害等級1級に認定されます。
障害等級 | 障害の程度 | 仕事ができる | 介助が不要 |
---|---|---|---|
1級 | 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 | × | × |
2級 |
|
× | ◯ |
3級 |
|
◯ | ◯ |
参考元:障害年金制度の概要-内閣府
一方で他人の介助を必要としないものの、仕事ができない場合は障害等級2級、仕事ができる場合は障害等級3級にそれぞれ認定されます。
上記はあくまでも目安で、実際には国民年金法施行令や厚生年金保険法施行令の障害等級表によって障害等級が決まるため、日本年金機構の公式ホームページで確認しましょう。
障害者手帳の等級が4級でも障害年金で3級以上になるケースもある
障害年金と似ている公的制度に、障害者手帳があります。
しかし、それぞれの制度は全く異なるため、障害者手帳4級の人でも病気やケガで仕事ができない状態に陥った場合は障害年金で3級以上になるケースがあります。
そもそも障害者手帳とは、以下のように税金の控除や公共交通機関の割引を受けられる福祉制度のことです。
障害年金 | 身体障害者手帳 | |
---|---|---|
制度の提供元 | 日本年金機構 | 自治体 |
制度の内容 | 2ヶ月ごとに障害年金による現金支給 |
|
障害年金と障害者手帳は、制度自体が異なるため障害等級を混同しないようにしましょう。
初診日が国民年金や厚生年金保険の加入期間中であることが必須
障害年金は、初診日に国民年金または厚生年金の加入期間中であることが必須となります。
障害年金においての初診日は、障害の原因となった病気やケガをはじめて医師に診察してもらった日です。
以下のように初診日に国民年金へ加入していると障害基礎年金が支給され、厚生年金へ加入していれば障害厚生年金が支給されます。
初診日に加入している年金 | 支給される障害年金 |
---|---|
国民年金 | 障害基礎年金 |
厚生年金 | 障害厚生年金 |
厚生年金は就職した時点で加入できる利点があり、20歳になる前に障害が発生しても障害年金を受給可能です。
一方で国民年金の加入年齢は20歳以上60歳未満のため、20歳前に病気やケガをしても障害年金はすぐに支給されません。
ただし、20歳前または60〜65歳に初診日があれば障害年金の対象になります。
国民年金に加入していなくても20歳前または60〜65歳に初診日があれば対象
国民年金に加入していなくても、初診日が20歳前または60〜65歳の期間で国内に住んでいれば障害年金の対象になります。
20歳前に初診日のある場合や被保険者の資格を喪失した後でも60歳から65歳までの日本国内在住中に初診日があり、国民年金未請求の場合も対象となります。
引用元:障害年金の請求-船橋市
とはいえ、あくまでも障害年金の受給対象になるだけであり、実際に支給されるのは20歳になってからです。
初診日が60〜65歳の場合は、老齢基礎年金を前倒しで受給していなければ、障害基礎年金が支給されます。
初診日は障害年金を申請するうえで重要であり、支給される年金の種類だけではなく保険料の納付期間にも影響します。
年金加入期間の3分の2を超える保険料納付期間が必要になる
障害年金の条件には年金加入期間もあり、初診日があった前々月までの保険料納付期間が3分の2以上であることが求められます。
初診日の前日に、その初診日のある月の、前々月までの期間の3分の2以上が、次のいずれかの条件に当てはまっている必要があります。
引用元:障害年金制度-卸所市
例えば1月に20歳を迎えた人が障害を負い、12月に初診日がある場合は10月までに3分の2以上の納付期間があれば障害年金の納付要件を満たしています。
経済的に年金の支払いが困難で免除されていた時期があっても、免除期間を含めて3分の2以上であれば障害年金の受給が可能です。
3分の2以上の保険料納付期間を求める場合は、以下の計算式によって算出できます。
(納付済期間+免除期間)÷被保険者期間>または=0.6666…
納付済期間を被保険者期間で割った数が0.6666以上であれば、保険料納付期間は3分の2以上ということです。
算出に必要な各期間は日本年金機構が運営しているねんきんネットに登録すると確認できるため、保険料納付期間が気になる人は計算してみましょう。
保険料納付期間は、国民年金と厚生年金のどちらも原則として前々月までに3分の2以上が必要です。
しかし過去に未納時期があり、保険料納付期間が3分の2以上に達していなくても障害年金を受給できる場合があります。
直近1年以内に保険料を滞納していなければ対象になるケースもある
初診日から前々月までの直近1年以内に保険料を滞納していなければ、保険料納付期間の要項を満たしていなくても障害年金を受給できるケースがあります。
以下のように12月に初診日がある人は、前々月の10月から直近1年間の11月まで年金を滞納していなければ障害年金の納付要件を満たしています。
つまり、保険料納付期間が3分の2未満の人でも障害年金を受給できるということです。
ただし保険料納付期間だけではなく、障害等級や初診日などの上述した条件も満たしている必要がありますので覚えておきましょう。
いくらまで働ける?所得制限はないので収入があっても受給できる
障害年金は所得制限がないため、仕事の収入がいくらあっても受給できます。
仕事をしながら障害年金を受け取れるのは、以下のように障害厚生年金3級に該当する人です。
障害等級 | 制限ありで仕事ができる状態 |
---|---|
1級 | × |
2級 | × |
3級 | ◯ |
1〜2級に比べて障害の程度が軽く、制限付きで働ける障害等級3級の人なら、仕事による収入と障害年金の両方を得られます。
ただし障害厚生年金3級を受け取っている人が仕事を始めると、症状が軽快していると判断されやすく、結果的に障害年金を停止されてしまう可能性があります。
特に、見た目だけではどのように仕事が制限されるのか判断できない障害は、支給を停止されるケースが多いので気をつけましょう。
障害年金を受け取れない原因としては、日常生活の支障を主治医に伝えきれていないことも考えられます。
障害年金をもらえない人の特徴!日常生活への支障が診断書で伝わらない
障害年金をもらえない人は、日常生活への支障を診断書で伝えきれていない可能性があります。
診断書は障害等級に大きく影響するため、医師に日常生活の支障をうまく伝えきれていないと不支給の原因になりかねません。
特に見た目や数値ではわからない障害は、日常生活にどのような支障があるのか具体的な事例を挙げながら主治医に伝えることが大切です。
日常生活状況は、現在の生活環境や対人関係をありのまま医師に伝える方がいいでしょう。
日常生活能力の判定は、単身生活を想定して判断されるため、家族の支援を受けている人は想像力を働かせて医師に返答する必要があります。
日常生活能力の程度は、以下のように5段階評価となっており、自分で判断できない場合は家族や同僚といった客観的な見解が求められます。
- 精神障害を認めるが社会生活は普通にできる
- 家庭内での日常生活は普通にできるが社会生活には援助が必要である
- 家庭内での単純な日常生活はできるが時に応じて援助が必要である
- 日常生活における身の回りのことも多くの援助が必要である
- 身の回りのこともほとんどできないため常時の援助が必要である
障害年金を受け取るためには、主治医に対して日常生活や仕事でどのような支障や制限があるのか詳細に説明することが重要です。
日頃から障害による日常生活や仕事での制限をメモに書き留めておけば、医師を目の前にしても焦らず具体的な事例を伝えられます。
障害年金をもらえる確率は?87%以上は認定されているから不支給割合は低い
厚生労働省が調査した統計データによると、障害年金をもらえる確率は87.4%です。
新規の裁定結果 | 割合 |
---|---|
障害等級2級 | 57.9% |
障害等級3級(障害厚生年金のみ) | 15.4% |
障害等級1級 | 14.1% |
非該当 | 12.4% |
障害手当金のみ | 0.2% |
1級〜3級に認定された人の合計 | 87.4% |
障害年金を初めて申請した人のうち、およそ8〜9割は審査に通っています。
上記からわかるように障害年金の不支給割合は低いため、受給条件を満たしており、病気やケガによって日常生活に支障があれば審査に通過することが可能です。
さらに審査に通っている人の半数以上は、国民年金だけでも受給できる障害等級2級以上となっており、敷居が低い印象があります。
ただし障害年金の審査を受けるには手続きが必要なため、事前に申請方法を把握しておきましょう。
障害年金の申請方法!住んでいる地域の年金事務所で手続きをしよう
障害年金を申請するには、住んでいる地域の年金事務所で手続きをおこないます。
住んでいる地域の年金事務所は、日本年金機構の公式サイトにある全国の相談および手続き窓口ページから検索可能です。
必要書類は以下のように様々あり、申請者だけでは作成できない医師の診断書もあるため申請する前に医療機関への受診が欠かせません。
申請者が用意する書類 | 医師に作成してもらう書類 |
---|---|
|
|
障害年金請求書と病歴就労状況等申立書は申請者本人が作成しなければならず、年金事務所や日本年金機構の公式サイトから申請用紙をそれぞれ取り寄せる必要があります。
障害年金の申請から支給までの具体的な流れは、以下のとおりです。
年金事務所には相談窓口があり、事前に予約することで障害年金の申請方法を詳しく教えてもらえます。
相談する際は本人確認書類や年金手帳だけではなく、傷病名や受診遍歴も必要となるため、事前にメモに控えておいてから年金事務所に向かいましょう。
必要書類がすべて揃っているとその日のうちに申請できますが、初診日の調査や診断書の作成がまだの人はそれぞれ準備が必要です。
初診日は保険料納付期間や年金の種類が決まるだけではなく、障害が発生した日を遡る際の起点にもなります。
そのため初診日がわからない場合は、医療機関に確認して事前に調べる必要があります。
初診日はカルテに記載されているものの、記録の破棄や廃院などで全くわからない場合は、受診状況等証明書が添付できない申立書の提出が必要です。
初診日がわかったら、医師に依頼して診断書を作成してもらいます。
診断書を依頼する医療機関が初診日と異なる場合は、受診状況等証明書も必要です。
受診状況等証明書は初診日を証明するのに必要な書類であるため、転院で医療機関が変わっている場合は診断書と併せて医師に作成してもらいましょう。
必要書類が揃ったら、年金事務所で申請手続きを開始します。
申請手続きは年金事務所の担当者に進めてもらえるため、申請者は必要書類に不備や漏れがないか最後に確認しましょう。
障害年金の審査に通ると、90日程度で年金決定通知書が郵送されます。
ただし実際に障害年金が振り込まれるのはさらに50日程度かかるため、申請から初回の支給までは4〜5ヶ月ほど見ておく必要があります。
障害年金は、申請する時期や障害の状態によって請求方法が異なりますので、年金事務所の担当者に確認しましょう。
初診日の1年6ヶ月後なら障害認定日請求で翌月分から受給できる
障害年金は初診日から1年6ヶ月が経過すれば、障害認定日請求として翌月分から受給できます。
障害認定日とは、初診日から数えて1年6ヶ月が経過した日または症状が固定した日のことです。
そのため障害年金の請求は病気やケガが発生しても、症状が固定して改善が見込めないケースでない限り、初診日から1年6ヶ月待たなければいけません。
病気やケガで仕事ができなくなると4日目から傷病手当金が支給され、最長1年6ヶ月まで受け取れるからです。
Q傷病手当金はいつまで受けられますか?
引用元:傷病手当金について-全国健康保険協会
A支給を開始した日から最長で1年6ヵ月間です。
障害年金は、傷病手当金と併用されないように請求時期が調整されています。
健康保険に加入しているのであれば、障害年金を受け取れる1年6ヶ月までの期間、傷病手当金で生活費を工面しましょう。
障害認定日請求は障害年金の申請手段のなかでも一般的な方法であり、障害認定日から1年以内に請求するケースが該当します。
一方で障害認定日から1年以上過ぎてから障害年金を請求すると、遡及請求として扱われます。
請求時期が大幅に遅れても最大5年分の遡及請求が可能
障害認定日を過ぎてしまい請求時期が大幅に遅れても、遡及請求をすれば最大5年分の障害年金を受け取れます。
遡及請求とは、障害認定日から1年以上過ぎてしまった場合でも障害年金を請求できる制度のことです。
遡及請求 | 障害認定日請求 |
---|---|
障害認定日から1年以上後に請求 | 障害認定日から1年以内に請求 |
例えば初診日が4年前であれば、障害認定日の翌月から2年6ヶ月分まで遡って障害年金を請求できます。
審査によって障害等級が1級と認定された場合、受給額はおよそ234万円です。
月額8万1,020円(障害基礎年金1級)×2年5ヶ月分(29ヶ月分)=234万9,580円
遡及請求をおこなう場合も、最寄りの年金事務所に相談しましょう。
障害認定日以降に症状が悪化した人は事後重症請求で対応してもらえる
障害認定日が過ぎてから病気やケガの症状が悪化した人でも、事後重症請求で対応してもらえます。
事後重症請求とは、障害の程度が軽くて障害認定日の段階では障害等級要件を満たせなかった人でも、病気やケガの悪化によって障害年金を請求できる制度のことです。
ただし事後重症請求は以下のように請求日を起点として受給権が発生するため、障害認定日までは遡れません。
請求の種類 | 事後重症請求 | 障害認定日請求または遡及請求 |
---|---|---|
受給権の発生月 | 請求日の月 | 障害認定日の月 |
支給対象 | 請求日の翌月分から | 障害認定日の翌月分から |
診断書 | 請求日から3ヶ月以内の診断書 | 障害認定日から3ヶ月以内 (※遡及請求は請求日から3ヶ月以内の診断書も必要) |
障害認定日まで遡って請求できる | × | ◯ |
障害認定日請求や遡及請求であれば障害認定日まで遡って請求できますが、事後重症請求の場合は請求した翌月分からの支給となり受給額は少なくなります。
新たな障害を負ったらはじめて2級による請求が可能になる
障害等級が3級程度の人が新たな障害を負って2級以上になると、はじめて2級による請求が可能になります
2級以上の障害の程度にない状態の人が新たな傷病にかかり、65歳の誕生日の2日前までに基準傷病と前の傷病を併せると2級以上の障害に該当したときは、本人の請求により障害基礎年金を受けられます。
引用元:障害基礎年金-鹿児島市
はじめて2級による請求が該当するのは、国民年金に加入している人です。
例えば国民年金の人が障害等級3級と認定されても障害年金は支給されませんが、新たな障害が発症して併合認定されると、はじめて2級による請求が可能となります。
はじめて2級による請求は、以下のように新たな障害を負った初診日が起点となるため、国民年金から厚生年金に切り替えた人であれば障害厚生年金が支給されます。
請求の種類 | はじめて2級による請求 | 障害認定日請求 |
---|---|---|
保険料の加入要件 | 新たな障害の初診日に加入していた年金 | 初診日に加入していた年金 |
保険料の納付要件 | 新たな障害の初診日まで3分の2以上 | 初診日まで3分の2以上 |
さらに、保険料の納付要件を満たしていなかった人でも、新たな障害を診察した初診日までに年金を3分の2以上納めていると障害年金の受給が可能です。
はじめて2級による請求の支給対象も事後重症請求と同様に、請求日の翌月分からとなります。
20歳以前に障害があった場合は20歳前障害による請求の対象
障害年金は20歳になる前の障害や生まれながらの先天性障害であれば、20歳前障害による請求の対象です。
20歳前障害とは、厚生年金や共済年金に加入していない20歳前の期間中に傷病の初診日があるか、生まれながらの先天性障害を診断書等で証明できることを指します。この場合は、20歳に達してから申請ができます。
引用元:障害基礎年金-渋谷区
障害年金は国民年金に加入していなければ支給されないものの、20歳前障害による請求があるため、20歳になる前の病気やケガも受給対象になることが魅力になります。
20歳前障害による請求の障害認定日は、以下のように20歳に達した日または初診日から1年6ヶ月が経過した日のいずれかです。
初診日の年 | 障害基礎年金の障害認定日 | 障害厚生年金の障害認定日 |
---|---|---|
0歳1ヶ月〜18歳6ヶ月 | 20歳に達した日 | 初診日から1年6ヶ月後 |
18歳7ヶ月以降 | 初診日から1年6ヶ月後 | 初診日から1年6ヶ月後 |
例えば国民年金に加入していない18歳で障害等級2級程度の障害が発生しても、20歳に達した日の翌月分から障害基礎年金を請求できます。
一方で高校卒業後すぐに就職して18歳で厚生年金に加入している場合、20歳を待たなくても初診日から1年6ヶ月経過した19歳6ヶ月で障害厚生年金を請求可能です。
国民年金の加入開始時期は20歳ですが、厚生年金は特に決まっていません。
したがって20歳前障害による請求は、厚生年金に加入していない国民年金加入者に対する救済的な措置といえます。
ただし、20歳前障害による請求は、所得制限が設けられているため収入が多いと障害年金を受給できないケースがあります。
国民年金の保険料を納付していないので所得制限がある
障害年金は所得が多くても受給額が減ることはありませんが、20歳前障害による請求に限って所得制限が設けられています。
国民年金は20歳にならなければ加入できず、20歳前障害の請求者は保険料納付期間を満たしていないことになるからです。
20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、年金の加入を要件としていないことから、年金の支給に関して制限や調整があります。
引用元:20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等-日本年金機構
そのため、所得が多いと以下のように受給額が半分または全額停止となります。
前年の所得額 | 1級の受給額 | 2級の受給額 |
---|---|---|
472万1,000円超 | 全額停止 | 全額停止 |
370万4,001円〜472万1,000円 | 48万6,125円(半分停止) | 38万8,900円(半分停止) |
370万4,000円以下 | 97万2,250円(全額受給) | 77万7,800(全額受給) |
ただし前年の所得が370万4,000円以下であれば所得制限はおこなわれず、全額受給が可能です。
所得制限は子の加算に影響しないため、前年度より収入が増えた場合でも子供ひとりにつき年間22万3,800円を支給してもらえます。
申請できる年齢は基本的に20歳から65歳未満になる
障害基礎年金を申請できる年齢は、基本的に20歳から65歳未満です。
障害基礎年金を受給するには初診日が65歳未満である必要があり、超えている人は残念ながら障害基礎年金を申請できません。
厚生年金に加入していれば20歳前や65歳以上でも障害厚生年金を申請できるものの、障害基礎年金に関しては20歳以上65歳未満の年齢制限が設けられています。
事後重症請求も65歳を迎える日の前々日が期限であるため、65歳以上の人は対象外です。
事後重症請求は、65歳到達日前(誕生日の前々日)までに請求書を提出する必要があります。
引用元:かけはし第65号-日本年金機構
事後重症請求は、老齢年金を繰り上げて受給している60〜64歳の人も申請できない仕組みとなっています。
ただし65歳になる前に初診日があり、障害等級や納付要件などすべての条件を満たしている場合は65歳以上の人でも障害年金の申請が可能です。
例えば64歳11ヶ月に初診日があれば、1年6ヶ月経過後の66歳5ヶ月が障害認定日となり翌月分から障害年金を受け取れます。
障害年金とは病気やケガで労働が制限される際に受給できる年金のこと
障害年金とは、病気やケガで日常生活や労働が制限される際に受給できる公的年金制度のことです。
障害年金の受給者数は以下のように年々増えており、2019年には210万人以上もの人が受給しています。
統計年度 | 障害基礎年金の受給者数 |
---|---|
平成23年 | 187万人 |
平成24年 | 190.2万人 |
平成25年 | 193.1万人 |
平成26年 | 195.9万人 |
平成27年 | 199.1万人 |
平成28年 | 202.5万人 |
平成29年 | 205.6万人 |
平成30年 | 208.8万人 |
令和元年 | 212.1万人 |
障害年金の受給者が増えている理由は、政府広報オンラインをはじめ、様々な周知活動が進められているからです。
障害のある方に対して、障害年金の周知が進められていることから、近年、障害年金の受給権者数は増加しています。
引用元:障害年金の制度の概要-日本年金機構
障害年金は受給者の数だけではなく、申請手続きを依頼できる社会保険労務士の人数も年々増えています。
社会保険労務士に障害年金の申請手続きを依頼すると、面倒な書類作成や医療機関の訪問がなくなるため、自分で申請することが難しい場合は代行してもらうのが最適です。
地元の社会保険事務所に相談すれば、10〜15万円ほどで障害年金の申請を代行してもらえます。
最寄りの社会保険労務事務所は、全国社会保険労務士会連合会の公式ホームページで検索しましょう。
障害年金の審査に通ると、資産の有無に関わらず一律で現金支給されます。
使い道も自由なため、生活費以外の趣味や旅行といった遊興費として利用が可能です。
さらに、障害年金は国民年金保険料の支払いを免除してもらえる利点もあります。
国民年金保険料の支払いを免除してもらえるのが受給する利点
国内に住む20歳以上60歳未満の人は原則的に国民年金の保険料を納めなければならず、未納期間が長いと老齢年金が支給されません。
一方で障害年金を受給している人は、国民年金の保険料を免除してもらえます。
認定された日を含む月の前月の保険料から免除となります。
引用元:国民年金保険料の法定免除制度-日本年金機構
国民年金の保険料を免除してもらえる人は、以下のように障害基礎年金または障害厚生年金2級以上の受給者です。
障害年金 | 国民年金保険料の免除 |
---|---|
障害年金基礎年金 | ◯ |
障害厚生年金2級以上 | ◯ |
障害厚生年金3級 | × |
国民年金の保険料は令和4年時点で月額16,590円のため、障害基礎年金または障害厚生年金2級以上の人は年間20万円ほど保険料分を節約できます。
国民年金の保険料を免除してもらうには、国民年金保険料免除事由届を住んでいる地域の役所に提出することが必要です。
ただし国民年金の保険料を免除してもらうと将来の老齢年金が少なくなるため、生活が困窮していない場合は保険料を継続して納める方がいいでしょう。
国民年金保険料を継続して納付する場合は、国民年金保険料免除期間納付申出書を最寄りの年金事務所に提出します。
障害年金は国民年金の保険料を免除してもらえますが、収入が多いと社会保険の扶養から外れてしまうことが障害年金の難点です。
難点は所得が180万円を超えると社会保険の扶養から外れること
社会保険には扶養控除があり、年収130万円未満であれば夫や親の扶養に入れるため、保険料が免除されます。
ただし障害年金を受給して収入が増えると、社会保険の扶養から外れてしまう可能性があります。
具体的には、他の収入と障害年金の受給額を合計して年収180万円を超えてしまうケースです。
被扶養者の削除
引用元:社会保険いばらき-茨城県社会保険協会
障害者の場合は、年間収入180万円以上見込まれるとき
例えば年収120万円を得ていた人が、障害厚生年金3級と認定されて年間70万円の障害年金を受給すると年収は180万円を超えてしまいます。
年収120万円+障害厚生年金3級の受給額70万円=年収190万円
障害等級3級の人は働けない状態ではないため、パートやアルバイトでも障害年金の受給額と合わせて年収180万円を超えると夫や親の社会保険の扶養に入れません。
社会保険の扶養から外れると、勤務先の健康保険もしくは国民健康保険への加入を求められてしまい、今まで控除されていた保険料が発生することが難点です。
国民健康保険料は以下のように収入が多い人ほど増えていき、年収180万円を超えると年間にして12〜15万円以上の負担が求められます。
年収 | 1ヶ月あたりの保険料(40〜64歳以外) | 1ヶ月あたりの保険料(40〜64歳) |
---|---|---|
150万円 | 8万467円 | 1万772円 |
175万円 | 1万48円 | 1万2,692円 |
200万円 | 1万1,409円 | 1万4,346円 |
225万円 | 1万2,789円 | 1万6,022円 |
250万円 | 1万4,191円 | 1万7,726円 |
275万円 | 1万5,571円 | 1万9,403円 |
参考元:令和3年度国民健康保険料概算早見表(給与・年金)-新宿区
特に障害年金を受給したあとの年収が180〜200万円程度になる人は、国民健康保険料の負担によって社会保険の被扶養に入っていたときよりも手取りが減ってしまう可能性があります。
社会保険の扶養から外れることで手取りが減ってしまう場合は、勤め先に年収180万円未満となるよう勤務日数を調整してもらうよう相談しましょう。
原則1人あたり1年金なので老齢年金や遺族年金との併給は不可
公的年金は1人1年金の原則があるため、障害年金を受給している人は老齢年金や遺族年金との併給ができません。
例えば障害年金を受給している人が65歳になって老齢年金を受け取れるようになっても、どちらか一方の年金を選ぶ必要があります。
公的年金では、支給事由(老齢、障害、遺族)が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったときは、原則、いずれか1つの年金を選択することになります。
引用元:返金の併給または選択-日本年金機構
公的年金の受給権が2つ以上ある場合は、それぞれの受給額を調べて最も多くもらえる年金を選びましょう。
老齢年金の受給見込額は、日本年金機構のねんきんネットに年金情報を登録すると調べられます。
障害年金よりも老齢年金の受給見込額の方が多いようであれば、65歳に達した時点で年金の切り替え手続きをおこなうのが最適です。
年金の切り替え手続きは、年金事務所に年金受給選択申出書を提出するだけで完了します。
公的年金は原則1人1年金が原則であるものの、障害基礎年金に老齢厚生年金を組み合わせることは可能です。
厚生年金と基礎年金の組み合わせを変更することは可能
先ほど公的年金は原則1人1年金と言いましたが、厚生年金と基礎年金の組み合わせを変更することは可能です。
障害厚生年金と障害基礎年金の組み合わせだけではなく、以下のように老齢厚生年金や老齢基礎年金へ変更できます。
例えば障害厚生年金を受給していた人に老齢年金の受給権が発生すると、上記3つのなかから受給額が最も多い年金の組み合わせを選択できます。
そのため上記の組み合わせから選択できるようになるのは、主に老齢年金を受け取れる65歳以上の人です。
年金の納付期間が少ないようであれば、老齢年金よりも一律で受け取れる障害年金の受給額の方が高くなる場合があります。
一方で厚生年金の長期加入者であれば、老齢厚生年金に切り替えることで受給額が増える可能性があります。
いずれにしても年金の受給額を自分ひとりで調べるのは大変なため、最寄りの年金事務所に相談して計算してもらいましょう。
支給日は偶数月の15日!2ヶ月分がまとめて振り込まれる
障害年金の支給日は偶数月の15日と決まっており、1回の支給で2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
年金は2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の15日にお受取りになれます。
引用元:障害基礎年金のお手続きの完了について-厚生労働省
支給日の15日が土日祝日で金融機関の休業日となる場合は、直前の営業日が支給日です。
例えば15日が土曜日で銀行の休業日となる場合は、前倒しで金曜日の14日に振り込まれます。
障害年金の振込日と受給額は、申請後に郵送される年金決定通知書で確認が可能です。
障害年金は毎月の給与と異なり、2ヶ月ごとの振り込みになるため、仕事をしていたときよりも計画的に家計を管理する必要があります。
他にも障害年金の受給者になると収入が減る可能性があり、家計の管理だけではなく支出の見直しも大切です。
とはいえ、障害年金は障害等級に変更がなければ受給し続けられるため、障害で仕事ができない人にとっては大きな支えとなります。
障害年金はいつまでもらえる?支給停止や失権するまでは受給し続けられる
障害年金は、障害等級を満たしていれば支給停止にならず、受給し続けられます。
障害が改善しないケースであれば、生涯にわたって障害年金の受給が可能です。
一方で治療によって改善が見込まれる場合は、症状が軽快して受給要件を満たせていないと障害年金は受給できません。
上記の違いを永久認定や有期認定といい、障害を診断した医師によってどちらに該当するかが決まります。
永久認定と有期認定の違いは、以下のとおりです。
認定の種類 | 永久認定 | 有期認定 |
---|---|---|
障害の改善 | 見込めない | 見込める |
支給停止の条件 | 生涯にわたって受給可能 | 障害等級の変更 |
更新手続き | 不要 | 必要 |
永久認定は、文字通り障害が永久的に認定されるため更新手続きが不要になります。
しかし、障害の改善が見込める場合は有期認定になるケースが多く、受給開始後は1〜5年ごとの更新が必要です。
受給開始後1〜5年で更新通知が届くので障害状態確認届の提出が必要
障害の改善見込みがある有期認定者は、障害年金の受給開始後1〜5年で日本年金機構から障害状態確認届が自宅に送られます。
障害状態確認届とは、日本年金機構が有期認定者の現時点における障害を把握するのに必要な確認書類のことです。
有期認定者は障害の改善見込みがあるため、初診日よりも症状が軽快していると受給要件に必要な障害等級を満たしていない可能性があります。
したがって有期認定者は障害状態確認届を1〜5年おきに作成する必要があり、現時点における障害の状態を日本年金機構へ申し出なければなりません。
障害状態確認届の提出先や提出期限は、以下のとおりです。
送付元 | 日本年金機構 |
---|---|
提出先 |
|
送付時期 | 誕生月の3ヶ月前の月末頃 |
作成後の提出期限 | 誕生月の月末 |
記入事項 | 医師の診断書 |
障害状態確認届は誕生月の3ヶ月前に自宅に送付され、受け取り後は医師に診断書を作成してもらう必要があります。
障害状態確認届の用紙自体に診断書を記載できるため、普段から通院している医療機関に持参して作成してもらいましょう。
提出期限は誕生月の月末までになり、作成には3ヶ月ほど期間が設けられています。
障害状態確認届は障害等級認定の審査に直接影響するため、障害の症状が現時点に沿っているか提出前に診断書を確認しておくことが大切です。
障害状態確認届にある診断書の内容次第では障害年金が支給停止になる
有期認定の受給者は障害状態確認届によって更新後の障害等級が決まるため、診断書の内容次第では障害年金が支給停止になる可能性があります。
例えば障害基礎年金2級の人が障害状態確認届を提出して障害等級3級に認定されると、提出期限の4ヶ月後から支給停止となります。
障害状態確認届の審査により、障害の程度が前回の認定時より軽くなり、下位等級に該当すると判断された場合は、提出期限の4か月後の年金額から減額改定または支給停止となります。
引用元:障害の程度が軽くなったとき(障害状態確認届)-日本年金機構
障害年金は初診日だけではなく、障害状態確認届に添付されている診断書を作成する場合でも、日常生活や仕事で障害がある旨を医師に対して正確に伝えることが重要です。
障害の状態が変わっていないにもかかわらず、診断書に軽快している旨を記載されてしまった場合は、担当医師に相談して再度作成してもらいましょう。
障害年金で提出する診断書はコピーできるため、保管しておけば前回と変わりがないか確認できます。
障害年金の仕組みは複雑ですが、最寄りの年金事務所に相談すると申請方法や受給金額を丁寧に教えてもらえます。
最後に障害年金でよくある質問をいくつか紹介しますので、申請する際の一助になれば幸いです。
- 障害年金はどのくらいもらえますか?
-
障害等級1級であれば年間97万2,250円、障害等級2級であれば最低でも年間77万7,800円が支給されます。
- 以前は厚生年金に加入していましたが障害厚生年金を受給できますか?
-
初診日に厚生年金の加入期間中であれば、障害厚生年金を受給できます。
- 障害等級3級ですが障害年金を受給できますか?
-
初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金3級を受給できますが、国民年金に加入していると受給できません。
- 市役所でも障害年金を申請できますか?
-
障害基礎年金を申請する人であれば、市役所の国民年金課でも申請できます。
- 障害年金は申請後すぐに受け取れますか?
-
障害年金は申請後すぐに受け取れず、申請から4〜5ヶ月ほどかかります。
- 年金の納付期間が3分の2以下ですが、障害年金を受給できますか?
-
初診日の前々月から直近1年間、年金の滞納がなければ障害年金を受給できます。
- 離婚すると子の加算は消滅しますか?
-
離婚しても養育費の仕送りなど生計維持が継続していれば、子の加算は消滅しません。
- 障害手帳の等級は2級ですが障害年金の等級も2級になりますか?
-
制度そのものが異なるため、障害手帳が2級だからといって障害年金が2級になるわけではありません。
- 障害状態確認届の送付時期はどこを見ればわかりますか?
-
年金決定通知書に同封されている、年金証書を確認すればわかります。
- 障害年金に所得税や住民税はかかりますか?
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障害年金は非課税ですので、所得税や住民税はかかりません。